第14代会長 澤邉紀生氏 会長挨拶
2024年8月30日~9月1日に開催された第50回記念大会にあわせて行われた直接投票により選出され、日本原価計算研究学会第14代会長に就任しました。挽文子前会長をはじめとする歴代会長が、会員のみなさまと一緒に築き上げてきた学会をさらに発展させる思いをみなさまと共有したく、会長就任にあたっての所信表明をもって会長挨拶の代わりとさせていただきます。
本学会は、1975年に創立され、今年(2024年)50周年を迎えました。本学会は「原価計算の理論および実践の研究を促進し、原価計算の進歩と発展に貢献するとともに、会員相互の交流をはかることを目的」としております。50周年の節目に、本学会の目的をあらためて見つめなおし、次の50年の発展に向けた基盤整備をすすめ方向づけすることが、第14代会長としての使命だととらえています。
まずみなさまと共有したいのが、本学会の目的を追求することによって、経済や社会の調和のとれた健全な発展に貢献すべきだという理想です。AIの急激な発達が経済活動の在り方を根本的に変える可能性が現実味を帯びるなかで、人々が安心して生活する環境としての地球の限界(Planetary Boundary)を意識することが増えてきています。大きな社会課題をわれわれの学問領域の問題としてとらえなおし、真摯に取り組むことで研究水準の向上をはかり、理論と実践を結び付けることで、学会として経済社会の発展に貢献する、この理想をみなさんと共有したいと思います。
この理想を学会として実現していくためには、これまで以上に、実務家や専門家とのコラボレーションを進めるとともに、博士課程だけでなく修士課程や学部に所属する学生など次の世代を担う人財にわれわれの学問に関心を持ってもらうことが重要だと考えます。学会として社会人院生をどう支援するかも大きな課題です。実務家や専門家や若い学生が、学会活動に参加するようになることが、学会の活性化につながると考えています。幅広く交流をすすめ、学会のすそ野を広げることを目指します。挽前会長のもとでスタートした原価計算リカレント教育プロジェクトは、この方向での学会活動として引き続き注力していきます。また、この理想を日本原価計算研究学会として推進するため、他学会や財団などとの連携をさらに深めるとともに、会員の先生方が所属する大学や研究機関との協力を進めていくことを基本方針とします。
学会の本質が研究にあることは間違いありません。学会として研究水準の向上をはかるという姿勢を堅持しつつ、実務実践との距離が近い学問分野としての特性を活かす方向で、学会を運営すべく微力を尽くす所存です。会員の皆様のご協力とご指導を心よりお願い申し上げます。
2024年10月吉日
日本原価計算研究学会第14代会長 澤邉 紀生